第13章 崩れゆく嘘[上]
「あなたに何が出来るの?...まさか、恵を救う事が出来るなんて思ってないわよね?」
「......」
あゆは苦しげに眉を寄せると唇を強く噛みしめた
「梨奈の事や恵の過去を少し聞いたからって全部分かった気にならないで!」
感情が昂ってきたのか、璃央の握られた手が僅かに震えだした
「私は...梨奈や駿よりは遅いけど、小さい頃から恵を見てきた。最近現れたあなたなんかに...絶対負けない!」
息を乱した璃央は鋭くあゆを睨みつける
そんな璃央の様子にあゆは胸元に握られた手に力を込めた
「...勝つとか、負けるとかじゃないと思います。勝ったから、雨宮君の傍にいられるとか...そんなの違うと思うから...」
「...何?まだ何か言いたいの?」
冷たく放たれた言葉に一瞬言葉を詰まらせるも、負けじとあゆも璃央を真っ直ぐ見つめる
「...っ、確かに。私は雨宮君の事、全然知りません。でも、幸せになってほしいから...。雨宮君にはもう辛い思いをしてほしくないんです」
「私とじゃ幸せになれない。...そう言いたいの?」
「違います!」
凛と響いたあゆの声に璃央は目を見開いた