第13章 崩れゆく嘘[上]
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「...っ、葵!」
葵の背中が近づくと、駿は声を上げた
その声に歩みを止め振り返った葵の瞳は僅かに見開かれている
「駿様」
「よかった。会えて...」
どこから追いかけてきたのか...
膝に手をついて乱れた息を整えている駿を見て葵は目を細めた
「すみません。気づかず...」
「いや、いいよ。それより...恵たちは?」
顔を上げた駿の真剣な表情に葵は眉を下げる
「本日、恵様はご一緒しておりません。璃央様は手続きの為、職員室にいらっしゃるかと...」
「璃央だけ?恵は...家?」
「いえ。それが...今朝迎えに行った時点でご自宅にはいらっしゃいませんでした」
睫を伏せそう告げる葵を見て駿は眉を寄せる
恵が行く場所なんて限られてる
朝から出掛けるなんて、遠い場所に行ってるのか...?
まさか...