第13章 崩れゆく嘘[上]
この状況からの打開策を提案する事も出来ず肩を落とした時、武本君が遠くを見据え呟いた
「...あれ?」
その声に私も武本君の視線の先を辿る
辿った先には、璃央ちゃんの執事さんが1人歩いていた
「なんで、葵1人なんだ...?」
武本君は眉を寄せ低く呟く
そのまま去っていきそうな執事さんの姿に、武本君は慌てて立ち上がると私を置いて走って行ってしまった
「あっ...!」
反応が遅れベンチに腰掛けたままの私
執事さんを追いかけた武本君の姿は校舎の裏へと消えてしまった
(どうしよう...)
今1人になっても出来る事なんてない...
不安に駆られ、武本君を追いかけようと腰を上げ足を踏み出した瞬間
「何してるの?」
後ろから声を掛けられ私は振り返った