第13章 崩れゆく嘘[上]
「恵が相手だったら敵わないって、ずっと思ってた...。でも、そうじゃないんだったら...もう我慢しない。いいよな?恵」
勇介の真剣な瞳に恵は何も言い返せないでいた
黙り込んだ恵に勇介は眉尻を下げる
「駿たちがすげえ心配してたよ。恵の本当の気持ちは分からないけど、もし...迷ってるならフランスに行くのは止めた方がいい。絶対後悔するから」
「俺は...」
「勇介~!」
重い口を開いた恵の言葉を遮って、勇介の後ろから声が聞こえた
「もう行かなきゃ。恵...新学期も会えるって思っていいよな?」
「......」
勇介の言葉に恵は表情を歪めると唇を噛み押し黙る
「俺、信じてるから」
そう言って微笑んだ勇介は背を向け走っていく
恵はその場から動けないまま、暫く立ち尽くしていた