第11章 絡まった想い[中]
「勇介、大丈夫だ。ここは俺の知り合いの邸宅なんだ。休める所に運ぶから、少し落ち着け...」
「あ、あぁ...」
「何か飲んで少し休むといい。ただし...酒以外な」
安心させる様に微笑んで、あゆを抱き上げると広間を出て行った
「...酒?」
「あーあ...なんか、色々失敗したわ」
恵の言葉に首を傾げる勇介の隣で璃央が不服そうに唇を尖らせた
「あんた...好きな女くらい、顔真っ青にしてないで守りなさいよ」
「ッ...!?」
一瞬で真っ赤になった勇介を軽く睨んで璃央はプイッと顔を背けた
勇介から離れ、給仕からグラスを受け取るとゆっくりと口に運ぶ
「あんな事くらいで赤くなるなんて...思ったより初(うぶ)なのね」
モテるって聞いたから、もっと女慣れしてるのかと思った
「恵の方が断然イイ男だけど」
私の存在を忘れてあの子に駆け寄ったのは気にくわないけど...
やっぱり、私には恵しかいない
「絶対...もう逃がさないんだから」