第11章 絡まった想い[中]
パリーンッ
グラスが割れる音に会場が静まり返る
音がした方へ視線を向けると、既に人だかりが出来ていた
「どうしたのかしら?」
ザワザワと次第にうるさくなっていく人の群れ
その奥で、知っている声が微かに聞こえた
「...いだ!」
背筋に悪寒が走って心臓が締め付けられる
「椎田ッ!」
ハッキリと聞こえた声
気づいた時には、璃央を置いて人の群れの中に飛び込んでいた
必死に人混みをかき分けて中心を目指す
「...、あゆ!」
やっと人の群れから抜けると、勇介に抱えられているあゆの姿が目に入った
「...ッ恵!?椎田が、急に倒れて...!!」
顔を真っ青にしている勇介
こんなに取り乱している姿...初めて見た
(俺も...人の事言えねえけど...)
自分も取り乱しそうな気持ちを抑えてゆっくりと2人に近寄る
あゆの顔を覗き込んで恵は眉間にシワを寄せた
「......」
目元が赤い
頬も...
近くには割れたグラス
床が濡れていた