第11章 絡まった想い[中]
姿を見るのはどれくらい振りだろうか...
見たところ元気そうだ
顔の痣も、手足の傷も痕にはならなかったんだな
ドレスもよく似合ってる
(よかった...)
「あの2人、お似合いよね」
近くで聞こえた声にハッとした
「あの男、恵と同じクラスの山口勇介でしょ?」
「......」
「バスケ部のエースで成績もそこそこ優秀。何でもそつなくこなして、あの爽やかさ。おまけに優しさの塊」
(コイツ...どっからそういう情報得るんだよ...)
「あの人結構モテるんだって。背も高いし、顔も普通よりいい方だし。勉強と運動が出来て性格もよかったらモテて当然よね」
隣でペラペラと喋る璃央の言葉に恵は眉を寄せた
「去年、告白された人数は少なくても4人。今年はすでに5人に告白されたとか...」
笑顔で話す璃央に背筋が震えた
あゆの事にしても、勇介の事にしても
ここまで調べて何がしたい...?
意図の分からない言動に恵は怪訝な表情で璃央を見ていた
「あの人、告白してきた子...全員振ってるんだって」
そう言った瞬間、雰囲気が変わった
意味深な笑みを浮かべる璃央
「だから?何だよ...」
「好きな子がいるのよ」
妙に、その言葉が心に響いた
普通の高校生だ
好きな奴がいるくらい普通だろう
でも...なぜが妙にひっかかる
こいつの言い方か...?
「私、知ってるの。...知りたい?」