第11章 絡まった想い[中]
そっと心の中で彼の名前を呼ぶと優しい手のひらが頭を撫でた
「...!」
「どうかした?」
口元を押さえて黙り込んでいたからか、山口君は心配そうに見つめてきた
「ううん...。何でもないよ」
笑顔を見せ首を振ると、また山口君と会話をする
でも、脈打つ心臓はさっきよりも激しくて...
雨宮君の方ばかり気になってしまう
雨宮君、少し痩せた...?
髪もちょっと伸びてる
...声、聞きたいな
(少し...少しだけ)
そう思って、もう一度雨宮君の方へと視線を向けた瞬間
彼にギュッと抱きつく女性の姿が見えた
(...璃央ちゃん)
露骨に嫌そうな顔をして表情を歪める雨宮君
でも...2人の雰囲気はとてもお似合いで、恋人だと言われてもおかしくない
それに雨宮君を嬉しそうに見つめる璃央ちゃんの瞳...
私は、あの瞳を知っている
漫画で見た事ある
咲綺も、最近よくする瞳だ
そう...
彼女は雨宮君が好きなんだ...