第10章 絡まった想い[上]
ついこの間まで嫌いだった人
彼本人から聞いたワケじゃない
人づてに雨宮君の話を聞いて、こんなに一瞬で彼への感情が変わるなんて...
(これって...私が噂を流された時と同じだ)
人の感情なんて簡単に左右される
最低な話には、すぐに軽蔑して
可哀相な話には、すぐに同情する
私のこの感情もただの同情かもしれない...
でも...
最後まで最低な人じゃなかった雨宮君に対して、今は本当に恨んで...憎んでなんかいない
きっとあの時、私の噂を完全に消す事が出来たのは雨宮君だけだったんだと思う
周りに混ざって私を傷つける事も出来たはず
寧ろ、一番私を傷つけやすい立場にいたのに...
彼は私を助けてくれた
歪んだ心でも
優しさはちゃんとあった