第9章 乱されるココロ
「先生...大丈夫?」
触れてはいけない事かもしれない
体操服も渡したし、すぐ帰った方がいいのかもしれない...けど...
こんな奈々先生を見たのは初めてで...
私が辛かった時、先生に何度も助けられたから
だから...私も力になりたい。そう思った
「......」
先生の顔を覗き込むと、私を見て涙を堪えるように先生は顔を背けた
(私じゃ力になれないのかな...)
先生の反応を見て胸が苦しくなる
そこで、ふと目に入ってきた紫色の花
すごく上品で、先生に似合っていた
「綺麗なお花ですね。先生の好きな花ですか?」
私の言葉に先生も花に目を向けると寂しげに微笑んだ
「アリウムっていう花よ。椎田さんは、どんな花にも花言葉があるの...知ってる?」
「薔薇なら”愛”とか、ですか...?」
「そうね...ほとんどは愛を表現するのに使うかもしれないけど、悲しみを意味する花もあるのよ」
ゾクン、と背筋が震えた
「アリウムの花言葉は”無限の悲しみ”」
「無限の...悲しみ」
そんな意味の花...
先生がわざわざ買うはずない
なんでこの花が保健室に...?
「この花...2年前から、妹の命日に必ず送られてくる様になったの...」
先生の言葉に目を見開いて言葉を失った