第9章 乱されるココロ
「誰から送られてくるのか分からない花...。椎田さんが言ったみたいに、私も初めて見た時は綺麗な花だと思ったわ」
先生は目を細めると微笑んだ
「去年もこの花が送られてきた時、きっとこの花を送ってくる意味があるんだと思った。それから、まず花の名前を調べて次に花言葉を知ったの。...その時は、この意味は私に向けられているのだと思ってた。でも、今日花束の中にカードが入ってて...」
先生の所へ花が送られてきたのは今日
カードが入ってたって事は、もしかして...
「いつもは妹の命日に届くはずなのに、今年は違ってた。送ってきた相手の名前を見て、なぜ花が送られていたのかやっと分かったの。椎田さんはあんまり知らないだろうけど...終業式に編入してきた霧島璃央ちゃん。あの子だった」
先生の言葉に鼓動が速くなった
(やっぱり、あの子だ...!)
「璃央ちゃんは妹の幼馴染で、妹とはすごく仲良くしてくれてた。この花は...私にじゃなくて、あの子に...梨奈に向けて送られていたものだったんだわ。突然亡くなったあの子の悲しみを、この花が代わりに私に伝えてくれている...」
そう言って先生は悲しそうに目を伏せた
「璃央ちゃんは今でも梨奈の事忘れずに思ってくれている。梨奈の命日にパーティーを開いてくれるらしくて招待してくれたの。だから今年はこの花も早く送られてきて...」
「先生っ...!」
言葉を遮った私を先生は不思議そうに見つめてきた
こんな事を聞くのはきっとよくない...
でも、聞いたら私の疑問は軽くなるかもしれないと思った
「私も、パーティーに呼ばれたんです」
「椎田さんも?」
「あの...よかったら、妹さんの事...詳しく聞かせてください」