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恋愛玩具

第9章 乱されるココロ



コンコン

「失礼しまーす...」

夏休み中だから、もしかしたら居ないかも...なんて一瞬思ったけど
保健室の扉は簡単に開いた

静かな室内

やっぱり居ないのかと思い少し中へと入ってみると、先生はこちらに背を向けて花瓶に入った紫の綺麗な花を見つめていた

(私に気づいてないのかな...?)

なんだか、先生の背中がとても寂しそうに感じて、声を掛けるのを少し躊躇ってしまう

「せんせ...?」

遠慮がちに出した声に先生はハッとして振り返った

そして...
私の顔を見た先生の瞳が微かに揺れる

「......梨奈」

(りな...?)

先生の様子にキョトンとしていると、先生は我に返ったのか慌てて立ち上がる

「あっ...椎田さん。ごめんなさい、私気がつかなくて...」

今にも泣き出しそうな先生の顔を見て、私はその場の雰囲気を変えようと体操服の入った袋を差し出した

「あの、体操服ずっと借りてて...すみませんでした」

「体操服...。あ!あの時の...気にしなくてもよかったのに」

先生は袋を受け取ると優しく微笑んだ

(やっぱり...先生ならそう言うと思った)

そんな事より、先生の様子がいつもと違う事が気になってしまう

顔色もよくないみたいだ...


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