第9章 乱されるココロ
「あゆ、ちょっといい?」
突然扉をノックする音に驚いて僅かに肩を跳ね上げた
「あ、うん。いいよ!」
返事をするとお母さんが体操服を片手に入ってくる
「この体操服、あゆのじゃないわよね?」
広げられた体操服を見て私は「あっ!」と声を上げた
鼻血を出した時に奈々先生から貸してもらったの...忘れてた!
「それ、保健室で借りた体操服だ!」
「あら...」
あれから色々ありすぎて、すっかり忘れていた
次学校行った時に...なんて言ってたらまた忘れちゃうよね
「今から返しに学校行ってくる」
お母さんから体操服を受け取り、学校へと向かった
確か...6月の終わりに借りたから、1ヶ月くらい私が持ってたんだ
奈々先生優しいから、謝っても笑顔で許してくれそう
(だからこそ、しっかり謝らなきゃ)