• テキストサイズ

恋愛玩具

第9章 乱されるココロ



「残念だけど...俺が言える事は何も無い」

静まり返る室内
空調の動く音だけが響いていた

「そう、ですか...」

微笑交じりの声色に感情を逆撫でされて昂ぶってくる
軽く目眩がして足元をフラつかせながら椅子へと腰掛けた

「大丈夫ですか?」

「もう用は済んだだろ...。出て行けよ」

近寄ろうとしてきた相手を見る事無く静かに呟いた

「そうですね...。では、失礼いたします」

恵の言葉に葵は深く頭を下げドアノブに手を掛ける

ドアノブの回る音が聞こえて安堵の溜息をつこうとした瞬間、葵が思い出した様に口を開いた

「ああ...忘れていました。8月12日にお屋敷でパーティーを開きます。椎田様も招待いたしますので...是非恵様もお越しください。では...」

最後に一際印象深い笑みを浮かべて出て行った

「......」

張り詰めていた空気から解放されて今度こそ安堵の息をつく

(璃央のやつ...。あゆに何する気なんだ?)

あゆに梨奈を重ねているんだろうか...

恵は瞳を伏せ額に手を当てると、深く深く息を吐いた

/ 311ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp