第9章 乱されるココロ
男の手を引っ張るあゆ
その男は...勇介だ
(なんで、あの2人が...?)
あゆは部活に入っていないはず...
なのにどうしてジャージ姿なのか
2人の姿から目を離せない
楽しそうに勇介へと笑顔を向けるあゆを見て、恵は胸が熱くなった
前までは、俺も触れることが出来た手
今は俺が触れる事は叶わない...
恵は自分の手のひらを見つめると強く握り締めた
(あいつに、傷を負わせたのは...俺...)
言い表す事の出来ない虚しさに襲われて身震いした
もっと違う形で出会ってたら...違っていたのかもしれない
いや...出会うことさえ、本当は許されなかったのかも...
色々な思いが駆け巡り恵は深く嘆息した