第9章 乱されるココロ
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「はあ...」
生徒会室に響いた溜息と、もたれた椅子の音
恵は夏休みになっても生徒会室に籠っていた
といっても、生徒会長としての仕事がそれほどある訳ではない
ただ、家にいたくなかったのだ
さっきまで駿も来ていたが
電話した後、上機嫌で帰って行った
彼女が出来たと聞いてもないのに話してきたから、きっとそれだろう
分かりやすい駿の表情を思い返すと恵は目を細め口元を緩めた
(相手は...あゆの友達の...。何て名前だったっけ)
「確か、木村...」
不意に窓の外へと視線を向けた
目に入ってきたのは手を繋いで歩いている男女
並んで、というより女の方が引っ張っているように見える
(あゆとは違って随分積極的な女だな)
1人の少女を思い浮かべ微笑んだ...が、窓を開けよく見ると軽く眉を寄せた
「......あゆ?」