第9章 乱されるココロ
「席も隣で、2年生になってからクラスで初めて声を掛けてくれたのも山口君だったし。私に何かあるとすぐ気づいてくれて...。あの時も、雨宮君との噂を流された時も、山口君は私を信じてくれていつも通りに接してくれた。...本当に、いつもありがとう」
微笑んで彼を見上げると、さっき以上に彼の顔は真っ赤になっていた
「そんな...お礼言われる様な事、全然してないからっ!俺は自分がしたい様にしただけで...」
「今日だって山口君の方が水分摂らなきゃいけないのに、私にスポーツドリンクくれたし。さっきも私の為に...」
「あー、もうやめて?恥ずかしすぎる...」
口元を押さえ顔を背けた山口君が可愛くて、なんだか心があったかくなった
「...あ!山口君、やる事あるんだよね?邪魔しちゃいけないし私そろそろ...」
「いや...大丈夫。あいつがいたら椎田が嫌だと思って...」
ゆるりと首を振る山口君に、胸が熱くなってその奥が切なく締めつけられた
(私の為に...わざと嘘ついて帰らせたんだ...)
胸の奥に感じる切ない痺れに私は戸惑っていた
なんだろう...この感覚
不思議な気持ちに不安になる
「椎田?」
「へっ...?」
「どうかした?」
不意に覗き込んできた彼の顔に鼓動が高鳴って、慌てて首を振った
「何でもないよっ!そ、そうだ...良かったら一緒に帰ろうよ!」
「えっ!?あ...、うん...」
目を見開いて再び頬を染めた彼の手を取り、私はいつもより速い鼓動に戸惑いながら彼の手を引いた