第9章 乱されるココロ
(1年生かな...?)
遠慮なくジロジロと見てくる視線に気まずくなり視線を逸らした瞬間
「なんだ...案外普通じゃん」
落胆したような声が聞こえて目を見開き再び1年男子を見た
「あんな噂流れるくらいだから、すげぇ美人なのかと思ってたのに。それに相手はあの雨宮先輩だし...」
「おい!」
投げつけられる無神経な言葉に涙が落ちそうになった時、山口君の声が響いた
その声に驚いて私は思わず肩を竦める
無神経に喋っていた男子も、普段は温厚な山口君の怒声に驚いたのか目を丸くして固まっていた
「隼人...」
「は、はいっ!」
名前を呼ばれて肩を跳ね上げると、男子は表情を強張らせた
「...次、そんなふざけた話したら許さねえから」
「...っはい!す、すみませんでしたッ!!」
怯えながら頭を下げる様子を見て、睨みつけていた山口君の表情がいつもの様に穏やかになる
「今日はお疲れさま。俺はまだやる事あるから、先帰れよ」
下げている頭をポンと撫で、さっきの事が嘘のような優しい口調に男子は顔を上げ再び軽く頭を下げた