第9章 乱されるココロ
「ありがとうございましたー」
ザワザワと辺りが騒がしくなって、部員たちがまばらに散っていく
「咲綺、お疲れさま」
他の部員たちが帰る支度を始めても、いまだに道具の整理をしている咲綺に近づいて声を掛けた
「あ、あゆもお疲れさま!今日は本当ありがとうね」
ボールの個数を数えていた咲綺が顔を上げて微笑む
「ううん。私なんかで役に立てるならいつでも呼んで!」
「ありがとう」とにっこり微笑みながら咲綺は立ち上がった
「さてと...私たちも帰ろっか」
手を払いながら言った咲綺に私は頷いた
「今日はあゆ頑張ってくれたから、アイスでも奢ってあげちゃおっかな!」
「ほんとっ!?わーい、アイス~!」
嬉しそうに声を弾ませる私に咲綺は頬を緩めた
学校帰りに寄り道なんて凄く久しぶりだ
早く行きたくて急いで荷物をまとめていると、咲綺の携帯が鈍い音を立てて震えた
「駿君だっ!ごめん、ちょっと待ってね」
画面を見た咲綺の表情が一気に輝く
すぐに携帯を耳にあてた彼女の頬はほんのり赤く染まっていた