第9章 乱されるココロ
「えっと...、女子テニス部の手伝い頼まれて...。たまにこうやってマネージャーやってるんだ」
「へえ...そうなんだ」
距離の近い山口君に緊張しつつ再びタオルを洗いはじめる
すぐ隣から彼の声が聞こえたと思った瞬間、突然頬にひんやりとした物を感じた
「...っ!」
驚いて咄嗟に頬を押さえて横を向くと、スポーツドリンクが目の前に現れる
「??」
目を瞬かせているとペットボトル越しに山口君が顔を覗かせ微笑んだ
「これ、あげる」
「えっ?」
目を見開き戸惑っていると、手を取られペットボトルを握らされた
「今日暑いから。熱中症にならないように気をつけて」
「でも...これ山口君が飲む為に買ったんじゃ...!」
首を振って返そうと手を伸ばすが彼の大きな手のひらが私の手を包んだ
「俺はもう休憩終わるから。じゃあ」
「あっ...」
お礼を言うより先に校舎へと走って行ってしまった
山口君の背中を見送った後、貰ったスポーツドリンクを見て私は小さく微笑む
山口君はいつも優しい
私が嫌がらせを受けていた時も、山口君は私を信じてくれた
誰にでも差別する事無く優しいし、バスケ部の部長も頑張ってる
部活大変なのに成績も良かった気がする
背も高いしカッコイイから、告白されてるとこ何回か見た事あるけど...
(山口君って彼女いないのかな?)
あれだけ告白されてるのに女の子と一緒にいる所見た事無いかも...
(バスケ、一筋なのかな?)