第8章 癒えない傷
「雨宮君と駿君は、中等部まで紅蘭学園にいたんだよ」
「へぇ...。でもさ、たしか紅蘭学園って高等部まであったよね?なら何でこの学校に...?」
紅蘭学園は一貫教育の学校だったはず
初等部から通ってたなら、どうしてそのまま高等部に進まなかったんだろう?
私が首を傾げると3人はその質問に困ったようにお互いを見た
「それは...知らない、けど」
「私も知らない」
「私も...」
(皆も知らないんだ...)
中等部の時に、何かあったのかな?
雨宮君って二重人格だし、問題起こして学校にいられなくなった...とか?
(さすがにそれは無いか)
「てか、雨宮君も武本君もお金持ちだったんだ」
私がぽつりと呟いた一言に理花が目を輝かせた
「そうだよ!雨宮君のお父さんは病院を中心に色んな事業を手がける雨宮コーポレーションの社長兼お医者さんだよ」
(雨宮君って、医者の息子だったんだ...)
「そうそう。それに駿君は、お母さんがジュエリーデザイナーでお父さんが宝石店社長の息子なの」
確かに、考えてみれば2人には独特の雰囲気を感じる
庶民の私たちとは格が違うってことか...
あれ?
ていうか...
「咲綺、私にそれ言いにきたの?」
「えっ?そう...だけど」
咲綺は頷くとキョトンと目を丸くした
私にとったら、あの女の子と雨宮君がどんな関係だとしてもどうでもいいのに
「なんで?」
あゆの一言に咲綺の表情が曇った