第8章 癒えない傷
ザワザワッ
騒がしい廊下へと顔を出すと、生徒が群がっている中心に可憐な雰囲気を纏った女の子が立っていた
(ハーフ...かな?見た事無い子だけど、誰だろう?)
「あっ!」
その子を見た途端、声をあげたゆかりに私と理花の視線が集中する
「何?ゆかり知ってるの?」
首を傾げた理花の言葉にゆかりは「うん...」と頷いた
「朝、雨宮君と腕組んで廊下歩いていた」
「え!?」
驚く理花に対して私は意外に冷静だった
(なんだ...あんな可愛い彼女いたんだ)
女の子らしい仕草
ふわふわの髪に白い肌
どこかの国のお姫様のような彼女は、雨宮君とお似合いだと感じた
「あゆ~っ!」
私を呼ぶ聞き慣れた声がした方へ顔を向けると、咲綺がこっちへ走ってくる
「あ!さっちゃん」
「咲綺、どうしたの?」
なぜか慌てている様子の咲綺を見て首を傾げた
「あのねっ、今囲まれてるあの子なんだけど...今日私のクラスに編入してきたの!」
「へえ...。終業式なのに変だね」
同じ学年なんだ
どうして今日編入してきたんだろ...?