第8章 癒えない傷
「あの時はお父様とお母様に呼ばれてフランスに行っただけだし、向こうの生活も飽きちゃったから日本に帰ってきたの」
「へ~。いつこっち来たの?」
璃央の言葉に駿が首を傾げる
「昨日」
「「は?昨日!?」」
恵と駿の声が重なった
(昨日帰国して今日編入って...あまりにも突然すぎるだろ)
「だって、すぐにでも恵に会いたかったんだもん!悪い?」
そう言った璃央は駿を睨みつける
「べ...別に、悪いなんて一言も言ってないじゃん!」
鋭く睨まれた駿は肩を竦め、恵の後ろへと身を隠した
「璃央って、相変わらず俺には冷てぇ...」
「ふんっ!」
相変わらずな様子の2人を見て、恵は深く溜息をついた