第8章 癒えない傷
ザワザワ...
「ね...あの子、誰?」
「見た事無いけど...」
「...ていうか」
「「「雨宮君の彼女っ...!?」」」
生徒会室を出て教室へと向かっている最中
恵の腕にピッタリと寄り添っている璃央を見て周囲の生徒が口々に騒ぐ
「なあ、これ...ヤバいんじゃない...?」
周りの生徒たちの様子を見て駿は恵に小さく耳打ちした
「......」
駿の言葉に軽く眉をひそめると、自分の腕に纏わりついている璃央を見下ろす
(確かに...この状況はかなり面倒だな)
こいつは霧島 璃央(キリシマ リオ)
俺と駿の事を知っているのは、小さい頃から同じ学校だったから
父親は貿易会社の社長
母親は海外ブランドの有名デザイナーの一人娘
ちなみに、母親がフランス人でハーフだ
(なんでいきなりこの学校に...?)
恵は制服に身を包んでいる璃央を見て違和感を感じた
(しかも終業式の日になんて、意味わかんねえ...)
それに...
「お前...フランスは?」
中3になる前に突然フランスに行くって言い出してそれっきりだった