第8章 癒えない傷
ドクン――
ずっと仕舞い込んでいた感情が体の中心から湧き上がってくる
胸がいっぱいになって思わず顔を歪めた
「でもさ、恵...最近表情が穏やかになったよな。それって、あゆちゃんのお陰なんじゃない?」
顔を伏せ黙り込んだ恵に駿は遠慮がちに口を開いた
「あのさ、恵...」
ガチャ!
「けい~っ!」
再び勢いよく開かれた扉から甲高い声と共に1人の少女が入ってくると駿を突き飛ばした
「うおっ!」
バランスを崩した駿は派手に机へと突っ込んだが、少女は気にも止めずに恵を見てニッコリと笑うと思いきり抱きつき幸せそうに恵の胸へと頬をすり寄せた
「恵、会いたかった...」
「いってて...。璃央!何でここにいんの!?」
駿は頭を押さえながら体を起こすと目を丸くして少女を見る
「駿も、久しぶりっ!」
駿へと笑顔を向ける璃央を見て恵は複雑そうに眉を寄せた