第8章 癒えない傷
蝉の声がうるさい
学校も今日で1学期は終わり、明日から夏休みだ
昨日はよく眠れなかったせいか少し体が重い...
「恵!おはよう」
「雨宮君おはよ~!」
「先輩、おはようございますっ」
「おはよう」
挨拶してきた生徒たちに笑顔を向ける
昨日、あゆのイジメを知って
あゆを失った...
昨日の今日なのにいつもと変わらない朝
生徒会室に入って溜息をひとつ
目を伏せると自然と頬を伝って涙が落ちた
「...俺だけ、取り残されたままだな」
胸元を掴み小さく呟いた言葉は誰にも届かず静かに消えていった
脳裏に浮かぶのは1人の少女の笑顔
恵は薄く目を開け頬の涙を拭った