The color in the darkness[D.G]
第1章 出会い1
そのエクソシストの前にとても濁った光が数個現れた。AKUMAだ。
彼らはとても見ていられないほど色が悲しく鈍い色をしている。それがエクソシストを取り囲んでいる。そして数個だったどす黒い光が周辺に分裂するように増殖し始めた。先ほどより禍々しいほどの黒い光が生み出され、恐ろしい勢いで増えていく。
「いけない!!」
私は意識を急浮上させる。
意識が戻るとそこには複数人の人間がいるようだった。
「コムイ!」
緊迫した私の声に彼は慌てて飛んでくる。
「どうした! アリーシャ!?」
「急いで、今ペルーに派遣しているエクソシストを避難させて! 殺されるわ!」
彼は息をのんで部下に回線をつなぐよう指示をする。周りの雰囲気がピンと張りつめてつないだ先のエクソシストに連絡がいったようだった。彼らはまだ生きている。それがわかった瞬間、みんな安堵する。
そして足音が近づいてくる、私はコムイだったとわかった。顔など見えないはずなのに私には申し訳なさそうな顔をしているのがわかった。
「アリーシャ」
事態は切迫している。彼の決断は正しい。アリーシャは集中するためにゆっくりと息を吐いた。
「……避難経路を指示します」
言って私は宙に手を伸ばした。それをコムイの手がつかみ、手のひらに何かを刺した。意識を現実にとどめるためだ。痛みが一番手っ取り早い。そして私は先ほどのように深く自分の中には潜らず、描いた地球を見た。
先ほどの部屋の中が少しぼやけて見える。だが、先ほど眺めていた状況が見えれば支障はない。
そこからはまるで相手とチェスをしているようだった。
「大きな通りに出てください。そうしないと数にやられます」
すると黒い光は一斉に同じ方向へと動き出した。エクソシストを見つけたのだ。
「敵をやり過ごしつつ少し敵を減らしてください、走りながら、的を絞らせないで」
エクソシストたちは言うとおりに動いているようだった。
「一人、有能なファインダーを路地裏に行かせて下さい。単独行動させて、そこが本当の避難経路になります」
一人が路地裏に抜ける。AKUMAはエクソシストを優先させて追わなかった。目論見通りだ。