The color in the darkness[D.G]
第1章 出会い1
「道なりに進んで、右に曲がると200m先に小さな階段があります。そこが地下通路につながってます。そこからならきっと追えません」
きっとファインダーが地下通路を見つけたのだろう。周りからわっと歓喜の声が聞こえた。だが、喜ぶのはまだ早い。エクソシストたちは未だ大通りを駆け抜けながら戦っているのだから。
「単独行動のファインダーさんはありったけの結界を階段に張ってください」
映像が乱れてくる、息が上がってきているのがわかる。自分の限界が近いのだ。
――こんな時に!
歯がみしたくなるような気持ちになるが、そんなことを考える暇はない。私は喘ぐように言葉を吐き出し続けた。
「交差点する道を……二つ過ぎたときに、右を曲がってください。そこから、直通で、地下階段へ行けます」
そこで、自分はどちらの世界からも意識を手放した。その途中でコムイが叫ぶような声がしたが、何を言っているのかはわからなかった。
意識が戻ったとき、私は今どこにいるのか確かめようと耳を澄ました。
かちゃかちゃと金属がこすれる音。消毒液のつんとした匂い。医療室のようだ。
そして、手を何かで拭われている。刺されて血でも出たのだろうか。その優しい手つきで誰なのかすぐにわかる。
「コムイ……あの人たちは?」
コムイは一瞬驚いて手を止めたが、すぐになぜか笑い出した。
「無事だよ」
聞いて嬉しくなった。そして上半身を起き上らせる。
「そう」
どうなったのか最後まで見られなかったから心配だった。
安堵しているのがわかったのか、コムイは私の頭をなでた。
「ありがとう、君のおかげだ」
その言葉に私はうつむいてしまう。