第13章 襲撃
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「確か、求婚相手は大俱利伽羅廣光、だったか。なぁに、歴史に存在しない神体が神の真似事など……笑止」
『でも、彼は今あの葛籠を手に入れた。刀を、確かな実体を手に入れたのよ』
「ならば、次はどう出る?」
『え?』
ーー突如、
本丸に大きな地響きと共に世界が揺れた。
『きゃッ……!』
思わず悲鳴が上がる。
三日月は咄嗟に湯女の肩を抱き、引き寄せると周囲を警戒するように片方の手で柄に触れた。
すると、
唐突に襖を蹴破るけたたましい音が鳴り響いた。
「迎えにきたぞ……ーー俺の花嫁」
あの日、見た姿がそのまま目の前に在る。
ーーもう、夢ではなかった。
「お前さんか、うちの大事なお姫にちょっかいをかけている野蛮な竜は」
『……っ! 廣光……』
「俺を呼ぶな……、殺したくなるだろう?」
廣光は大太刀を肩に担ぐように持ち、にやりと口角を上げる。
音と気配に気付いてか、無数の足音がこちらに駆け寄ってくる音がする。