第13章 襲撃
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「あいつは政宗公なんかじゃない。あいつは……俺の、俺たちの……
仕えるべき主。審神者だ」
大倶利伽羅は切っ先を廣光へと向けた。
大俱利伽羅の言葉に廣光は「はッ」と鼻で笑ったかと思えば、乾いた笑みを浮かべる。
「そういう暑苦しい仲間意識とか、茶番とか、愛とか友情とか……そういうの、どうでもいいんだよ。俺が欲しいのは政宗公ただ一つ。
器がどうであれ、お前の身体を蝕むその鱗が消えるわけじゃない」
廣光の言葉に、誰もが返す言葉を見失ったように息を呑んだ。
『別にいいわ、気にしない。あとで考えればいいことだもの……。そんなことより、
あんたいい加減うるさいわね。花嫁とか興味ないのよ、うちの本丸を襲撃してくれちゃって。その落とし前、つけさせてもらうわよ』
刹那ーー
湯女の周りに纏わりつくような濃い霊力が集まり始める。
集まった霊力は可視化され、淡い朱色を帯びて映る。
『第一部隊……ッ!』
湯女の一声に、
大俱利伽羅、燭台切光忠、三日月宗近、鶴丸国永、鯰尾藤四郎が集う。
「俺、この部隊の中にいるの緊張するから嫌なんですけど~」
「鯰尾、緊張することはないぞ。俺も緊張するからな、ははっ」
「いやいやいやいや、お前さんは一番緊張感がないだろうが」
「鶴さんには言われなくないよね。ね? 俱利伽羅」
「……」
個性あふれる第一部隊のようだ。
廣光はあからさまに溜息をついた。
「うるさい奴らだ。まとめて叩き潰す」
廣光は躊躇なく、
刀を振り上げた。