• テキストサイズ

刀剣乱舞 双竜はザクロを噛む

第13章 襲撃


.


静寂を切り取ったような、本丸の夜。

湯女の自室にほんのりと灯りが付いていた。


ふと、廊下の方に気配を感じる。



「お姫、少し良いか?」

『三日月……?いいわよ』



彼女の部屋を尋ねたのは、三日月だった。

許可を得たと同時に、戸が開いたかと思えば淡い羽織を持った三日月が小さく微笑んだ。



「お姫はまた夜更かしか? 感心しないぞ」

『ふふ、それはあなたもそうでしょう。どうしたの……こんな時間に』



お互い、何かを察していたのかもしれない。


畳に視線を落とした湯女見つめ、三日月は彼女の近くへと腰を降ろした。



「夜はまだ冷える。これを羽織っておくと良い」

『……ありがとう』



差し出された淡い羽織を受取り、軽く羽織った。



『それで、どうしたの』

「どこまで喰われている? 主」



三日月の声色が、少しだけ鋭く変わる。
ーーなんだ知ってるのね。

湯女は心の中で呟くと、観念したように右腕の裾を捲った。


捲った先には、肩に向かって竜が登っていくような痣が腕に刻み込まれていた。痣なのか、刺青なのか、最早判別はつかないだろう。

/ 93ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp