第10章 回想
「さて、ご理解して頂けたでしょうか? この認定は、一度通ってしまうとどんな抵抗があったとしても我々に同行して頂く、という決まりがあります。それは既に、書類を出して頂く前の注意事項にもきっちりと記されていた事実」
「でもこんなの、本人の意思はどうなるの!?」
「それは……ご自身の保護者様に向けられては如何でしょうか?」
「……っ」
「決定は決定、従って頂きます。俺達歴史修正者と戦う時の政府特務機関では、審神者の人数が不足しており一刻を争う事態となっております。貴方は、62人目の合格者なんです。俺達も、みすみす貴方を逃がすようなことは出来ません」
これが祖母や祖父達が出した決定なんだろうか? 私には……あの家にいる価値さえなかったんだろうか。ならそれでもいい、両親もいない。居場所もない。だったら全てを捨ててしまって、もっと……もっと私を認めてくれる場所で、自分の大切な居場所を作ってやる。
「……わかったわ、従ってあげる」
そうして私は、佐伯の指示の元【審神者】になることを決めた。
それからはとても時間が早く感じられた。本丸という場所を与えられて、審神者の特殊能力を教えられ、刀剣男士なるものを顕現しやるべき任務をこなしていく。悲しいことに、本丸での生活は私が今まで過ごして来たどの日常よりも心地よいものへと変わっていった。
私を慕ってくれる彼ら。それに応えたい。
そんな中、私の目の前に現れた刀に一瞬だけ驚愕する。