第8章 月光
「騒がしいな、鶴……」
「大事な俺の仲間が大変な目に遭ってるんだ、そりゃ居ても立っても居られないというものだろう。それに加えて、大切なお嬢が何やら変なことに巻き込まれているそうじゃないか?」
「国永か……。相変わらず、うるさい」
「つれないなぁ、倶利坊は。それより……光忠の居場所だが、俺に一つ考えがあるぞ!」
「……、なんだ? 言ってみろ」
半ば呆れ気味にそう口にしてやれば、鶴丸国永は自信ありげに胸を張った。
「今夜は満月だ。月に映る池を通り道にして、鏡の中に入ってやればいい」
大倶利伽羅は一瞬、こいつらに話したのは何かの間違いだったのでは? と思うほかなかった。そんな大倶利伽羅にたいして、鶴丸は近づいて肩に腕を回してきた。
「お嬢が心配なんだろう? だったら、なんでも試してみるといいのさ。大事なものを守りたければ、どうするのがいいのか……きちんと考えてごらん」
いつもより少しだけ真剣みを帯びた声に、大倶利伽羅は一瞬戸惑いながらも小さく頷いた。これ以上どうにかできる手段があるわけでもなし、試すしか突破口がないのならばと。
三人は手鏡と三日月が持っていた書物を手に、池へと移動することになった。