第3章 煌帝国
沈黙を破ったのは青年で、言葉足らずになりながらも懸命にさっきまでの出来事を説明しようとしていた。
「空から……?」
突拍子も無い話だというのにお姉さんは笑うでもなく真剣に話を聞いている。
真面目なところも似ているのかもしれないと、初対面ながらにそう思った。
「はい、何故その様な所からやって来たかは本人も存じないとの事で……」
そう説明すると、チラリと視線が向けられる。
それを困惑しながらも受けつつ、じっとしていた。
「そうなの……貴女、えっと、名前を聞いても良いかしら?」
考えるような素振りを見せながらお姉さんは私の方へと歩み寄り、そう聞いてくる。
「私は……氷室瑠花です」
短く言って頭を下げる。すると、優しげな声音でこう言われた。
「氷室瑠花さん。瑠花さんと呼ばせて頂きますね。私は煌帝国第一皇女、練白瑛と申します」
そう言って、スッと一礼される。
それに続くように青年もこちらへ向き直ってーー
「俺は煌帝国第四皇子、練白龍。姉上の弟です」