第4章 シンドリアへ
「まだ日が昇ってない……」
悩んだ挙句、早く眠った私は静まり返った部屋で一人目を覚ました。
窓の外はまだ薄暗く人の気配も無い。
「はぁ……」
もう一度寝れたらそれが一番良かったのだが、生憎それは難しい気がした。
「仕方ない、少し外に出ようかな」
生き抜きもかねてそうしようと決めて、部屋を出て廊下を進む。
その際、何となく薙刀も手に持って広い空間を求めてさ迷った。
誰もいないな……当たり前か。
そんな事を考えながら広々とした庭らしき場所にたどり着く。
此処なら丁度いいかもしれない。
スルッと薙刀を覆っていた布から取り出し一点に意識を集中する。
迷ったとき、気持ちが整理できないとき、私はただ薙刀を振るう。
そうすると、昂っていた気持ちが落ち着き前向きになれるのだ。
「ハァッ、やあ!!」
声を出し薙刀を横に縦に風を切り裂くイメージで振るう。
それを何度も何度も息が上がるまで繰り返して、モヤモヤとした気持ちを吹っ切るように鍛錬に勤しんだ。
――――
やがて空も明るくなり始め、腕が重くなってきた頃……少しではあったけど私の気持ちは昨日よりも確実に晴れていた。
「ふぅ……そろそろ戻ろうかな」
息も絶え絶えに呟いて、薙刀を仕舞うと着た道を戻る。
昨日聞いてしまった話はあまりに衝撃的だった、だけど私が一人で悩んだってきっと解決できるものでもないと思う。
だから一旦は蓋をして、聞くべきときが来たら、その時はきっと。
「白龍さんに直接聞こう」
それが私なりに考えた結果で今出来る最善の事だった。