第4章 シンドリアへ
その日の夕方。
私は白龍さんを探していた、と言うのもシンドリアについてから全然話せていなくて何となく気になったからだ。
別に、寂しいとかそう言うんじゃないんだけど。
何て言うのかな、シンドリアに来てからの白龍さんは、どこか切羽詰ってるというか……。
とにかく此処に来る前とは態度も空気も違う気がしてた。
どうしてこんなに気になるんだろ……変なの。
そう思いつつも捜し歩いて、ようやく目的の人を見つける。
「白龍さ……」
駆け寄ろうとして、隣に見えた人物に足が止まる。
あの人は確かシンドリアの……王様?
二人で何を話してるんだろうか、今後の事、とかかな?
だったら邪魔しない方がいいよね。
そう決めて立ち去ろうとして――私は聞いてしまった。
白龍さんの信じられない一言を。
「煌帝国を滅ぼすためです」
「え……」
どういうこと? 真剣な声音からして冗談には聞こえなかった。
足元から暗闇に落ちていくような感覚がして、言い様のない不安に襲われる。
そんな私の耳には白龍さんの言葉が嘘や冗談ではないと分かる数々の言葉が届いた。
「そのためなら何でもします。貴方の信用を得るために必要な事も、だからどうか協力して下さい」
白龍さんはこの為にシンドリアへ?
それならどうして私を連れてきたんだろう、どうして何も話してくれなかったの?
分からない事だらけで頭が可笑しくなりそうだった。
これ以上、この話を聞いていたくない。忘れてしまいたい。
そう思うのにシンドリアの王様の返答がどうしても気になる自分もいて、結局話が終わるまで動けずにいた。
――――
聞いてはいけない話題を聞いてしまったからか、私は結局白龍さんとは話せずじまいだった。
だけど、今はこれで良かったかも。どんな顔すればいいのか分からない。
「はぁ……」
立ち聞きしてしまった罪悪感と、何も知らないでいた自分に腹が立って溜息しか出てこない。
王様は白龍さんにアリババって人に会わせたいって言ってたけど。
その人もどこかの国の王子なんだよね……。
本当に私なんかが一生縁の無い様な人達ばかりが此処にはいる。
結局、私はただの部外者で、此処でも一人なのかな……。
悪い考えばかりが浮かんでは消えて、膝を抱えて蹲る。
こんな夜は早く眠ってしまうに限る。
そう決めて、宛がわれた部屋でただ眠る事にしたのだった。