第4章 シンドリアへ
「あれがシンドリア……?」
引き締めた気持ちの先に見えてきたのは水面に浮かぶ島国。
おそらくアレが目的地のシンドリアだろう。
近くなる港を見つめながら、船が着氷するのを待った。
船が無事港に着くと、私達は白龍さんを筆頭に順に船を降りる。
降りた先には沢山の個性的な面々が出迎えてくれた。
「ようこそ、シンドリアへ」
青髪の人当たりのよさそうな男性がそう言って挨拶する。
それに答えたのは白龍さんで、礼儀正しい振る舞いを見てこの人が皇子であることを思い出した。
もしかしなくても白龍さんに対して無礼だったりしたのかな。
昨日あった事やこの世界に来たときのことなどを思い出してサッと血の気が引く。
そう言えば紅玉もお姫様なんだっけ、本人に呼び捨てでいいと言われたとはいえ、やっぱり少しは遠慮するべきなのかな?
「んー……」
そんな事ばかり考えてしまってすっかり自分の思考に浸っていると。
「うわ~~ん」
と、聞き覚えのある声で泣いているのが聞こえてきた。
そこでようやく目の前で修羅場が繰り広げられていた事に気づく。
え? あれ、紅玉が泣いてる……?
と言うか、どうして白龍さんが謝って!?
状況が飲み込めず唖然としていた私に近くにいた商人が事情を掻い摘んで説明してくれる。
どうやら、紅玉が臣下の罠に嵌められて、シンドリアの王様に辱められたと勘違いし、それに対して白龍さんが頭を下げているのだとか……。
考え込んでいるまにこんな事になってるだなんて思いもしなかった。
自分の駄目さに反省しながらも、白龍さんの計らいで自体は収集したようで……私達は改めて無事にシンドリアに滞在する事となったのだった。