第4章 シンドリアへ
翌日の早朝、私は昨日言われたとおり白龍さんとシンドリアに行く事になっていたんだけど……。
「ええっと……」
船にはどう言う訳か、とてつもなく機嫌の悪い紅玉とそのおつきの人がいる。
これは何も聞かない方がいいよね?
チラリと白龍さんの方に視線を向けてみるけど、何やら慌しく動いて話せそうにない。
だから私は、慣れない船の上ギュッと白瑛さんに頂いた薙刀を握り締めていた。
朝食のときに、白瑛さんと少し話せたんだよね……。
それで昨日の事を謝って、それから白龍さんについていくことにした事を説明して。
説明する間、白瑛さんは何も言わずに話を聞いてくれて、ただ一言「いってらっしゃい、白龍をお願いね」という言葉と共にこの薙刀を託してくれた。
わざわざ私のために用意してくれたみたいで。
何から何まで頭が上がらないし……。
白瑛さんの気持ちが詰まっているからか、この薙刀を持っていると凄く心が落ち着く。
長さや重みも丁度いいし、切れ味もいいんだよね。
これを実際に誰かに向けて使うような事態にならなければいいと、そう思いつつも、初めて手にする刃の重みに気持ちが引き締まっていく気がした。
「ここではきっと……」
この薙刀で役たってみせる。それで認めてもらうんだ。
見えなくなった煌帝国を思いながら気持ちを新たにする。