第3章 煌帝国
話し終えると、脅迫する様な表情が消えた代わりにニヤニヤと楽しむような笑みを浮かべていて。
「へぇ~~あの白龍ちゃんがねぇ~?」
意味深に呟いた後、私の肩に手を置いて。
「それはいい事を聞いたわ~私、煌帝国第八皇女、練紅玉というの」
スッと頭を下げられる。
突然のことに戸惑い、慌てて同じ様に頭を下げて名乗り出る。
「私は、氷室瑠花です」
「瑠花ちゃんね、私のことは紅玉でいいわ~よろしくねぇ」
そう言って微笑む姿は、どこか品があって皇女様だと理解せざるを得なかった。
そんなやりとりの直後ーーーー
「紅玉殿! こちらに女人の娘が来ませんでしたか?!」
血相を変えた白龍さんが駆け込んできた。
そして目が合う。
気まずさに耐え切れず、思わず紅玉の後ろへ隠れる。
「あらあら、白龍ちゃんが大声を出すから瑠花ちゃんが怯えてるじゃない」
「なっ、俺はただ心配……」
言いかけた後で、ハッとして白龍さんは口を閉ざす。
「ふーん? そぉなの~、初めて出来た従者だものねぇ?」
「っ……!!」
紅玉の言葉に白龍さんは、真っ赤になる。
私はただ口出しも出来ず様子をうかがうしか無い。
「赤くなるだけじゃ分からないわよぉ~?」
くすくすと笑みを浮かべ挑発するような姿は、まるで悪戯をしている子供のようだった。
「そうです、瑠花殿は俺の従者です。ですから返して下さい」
ギュッと拳を握りながら言う姿は真剣で、胸が締め付けられるような気がした。
「ふ~~ん、返してあげなくもないけど、ちゃんと大事になさいよ?」
でないと、私が貰っちゃうから。
そう言い残して、奥へと消えてしまった。