第3章 煌帝国
白龍さんに案内されついた先はーー物凄く美味しそうな料理の数々が並べられていた。
見た事のない料理もあったけど、香りと見た目は十分魅力的で。
食い入るように見つめていると声が掛けられた。
「ちゃんと来てくれたのね、良かったわ」
声の主は先に着席していたらしい白瑛さんだった。
料理が強烈過ぎて気づかなかった……。
「ほら、姉上の隣へどうぞ」
その場に立ち尽くしていると白龍さんに促される。
それを聞いて私は白瑛さんと並ぶように座ったのだ。
そして、私の隣には白龍さんが。
「それでは頂きましょうか」
柔らかい笑みを浮かべた白瑛さんの言葉を合図に、私達は食べ始めたのだった。
「美味しい……!」
最初こそ遠慮がちに食べていた私だったが、空腹だったのと料理の美味しさが重なって、ついつい食べ過ぎるほど食べていた。
「お口に合ったなら良かったです」
そう言った白龍さんは心なしか喜んで見えて。
それが切っ掛けで思い出してしまう。
この世界へ来る前の私の食事は酷く冷めたものだったと。
美味しくなかったわけじゃない。料理が冷たかったわけでも。
ただ、会話も無く黙々と食べる食事は酷く味気なくて、とても冷たく感じた。
だからこそ、こんなに良くしてもらって良いのかと不安になる。
あまりにもこの人達と食べる食事は温かくて。
私には眩しかった。
「瑠花さん?」
白瑛さんの心配そうな言葉で我に返る。
すっかりと手が止まっていたからおかしく思っただろうか?
そう考えて再び料理に手を伸ばそうとしてーー
「気づいておられないのですか……?」
今度は心配そうな声音でコチラを見る白龍さんに止められた。
気づいてない?
二人は一体なんの事を言って……。
そう思った時、隣りに座る白龍さんの手がこちらへ伸びてきてーー
優しく目元の何かを拭った。
「貴女は…………泣いているのですよ?」
白龍さんの言葉にキュッと胸が痛み出す。
泣いている? 私が……?
そんな訳無いと思い、自分で頬に触れてみるが、そこはしっとりと濡れていた。
「っ…………」
それが分かった瞬間、いても立ってもいられなくて逃げるようにその場を飛び出した。
自分が誰かの前で泣くなんて、信じたくなかったから。