第3章 煌帝国
突然身体を震わせる私に白瑛さんはすぐ気づいて下さって。
「疲れているようですし、少し休みなさい。……白龍、瑠花さんを客間へ案内してあげて」
白瑛さんの言葉に、隣に座っていた白龍さんが驚いているのが分かる。
が、有無を言わさない迫力に気圧されたのか、何も言わず部屋へ案内してくれた。
案内されたのは、休むには広すぎるくらいに広い個室だった。
個室につくまでの間も会話はなく、身体の震えも収まらなかった。
「取り敢えず、ここを好きに使って下さい」
扉を開けそう言うと、白龍さんはそのまま立ち去ってしまう。
私は立ち去る背中をただ見ている事しかできなかった。
完全に姿が見えなくなった後、部屋へと入りそのままベットへ倒れこむ。
何だか酷く疲れていて、休みたい気分だった。
「何も、考えたくない……」
そう呟き瞼を閉じる。するとあっという間に睡魔が襲ってきて――。
睡魔に抗うこともなく眠りについた。
―――――
どのくらい眠っていたのか。
目覚めると太陽はすっかり落ちていて、微かに残る夕焼けが部屋を照らしてた。
「凄い寝ちゃった……」
少し休むだけのつもりだったのに、寝入ってしまうなんて。
自分でも吃驚だった。
「喉乾いたな」
序に言うとお腹もだいぶ空いている。
部屋は好きに使っていいと言われたけど、食べ物類は見当たらないし……。
「少しだけなら、外に出てもいいよね?」
自分以外に誰も居ないのに、確認するようにそう言ってから立ち上がる。
グッと伸びを一度して――私は部屋を出た。
部屋を出たのは良かったんだが、宛もない上に道も分からない王宮内。
誰かに見つからないかとヒヤヒヤしたりしながらも、飲み物を求めて彷徨うこと五分。
近くから風を切るような聞き覚えのある音が聞こえてくる。
これは――何かを振るう音?
毎日の様に聞いていた音だけに、小さな音でも聞き逃すことはない。
だからこそ、音の発信源が気になって――空腹なのも忘れて引き寄せられる様に音の方へ近づいた。
近づくにつれ風を切る速度が上がっているのが分かる。
誰がこんなにも真っ直ぐな音を立てているのか私は知りたくなって――掻き分けた茂みの先、一点を見据え真剣に槍を振るう白龍さんに見惚れた。
とても綺麗でずっと見ていたいと、そう思えたから。
「凄い……綺麗」
自然と出た言葉。