第3章 煌帝国
「そうですか、では……今度はコチラの事を話しましょう」
そう言うと、スゥと息を一度はいてから白瑛さんは話し始める。
話の内容は大体こうだった。
まず、ここは東大陸に位置する煌帝国という国で私の知る地球ではないらしい。
文化もルールも何もかもが違うそんな異世界。
一番の違いはーーこの世界には魔法が存在するということ、だろうか。
聞いただけでは実感が沸かなかったけど、白瑛さんは丁寧にも金属器と呼ばれる魔具で実際に魔法を使ってみせた。
それを目の前で目の当たりにしてしまったら、否定など出来るはずもなかった。
それらの事から私の知らない世界であることが確定する。
だけど、どうして私がここに落ちてきたのか、それは以前わからないままだ。
話を聞き終えて尚黙りこむ私に、白瑛さんは全く別の問を投げかけてきた。
「ねぇ瑠花、何か得意なことはありますか?」
なんの変哲も無い素朴な問、だけど私には重い問だった。
得意なこと…………そう聞かれて思いつく事は一つだけ。
「……薙刀」
ポツリと呟くような声。それが今の私の精一杯だ。
嫌いになった訳じゃない、今でも大好きだ。
でも同じくらい怖い。
大好きな薙刀を振るうことを否定されるのが。
怖くて悔しくて……身体が震えた。