【ハイキュー】 poco a poco (ポコ ア ポコ)
第3章 追試対策はじまる
「とは言ってもなー。朝と夕方30分練習抜けて勉強って気が重いな。なあ影山?」
「まあな。今朝も結局二人だけじゃイマイチ進まなかったしな。」
昼休み。中庭でスパイクとレシーブの練習をしながら日向と影山は愚痴る。
「月島は教えてくれって頼んでもカンジ悪いしなー!クソ!」
憂さを晴らすように思いっきりスパイクを打つが、見当違いなところへ飛んでしまう。
「げ!日向ボケ……」
「あ!わりぃ……やべ!」
「え!?わわわ!!」
日向の打ったボールはそこそこの勢いを保ったまま、通りかかった女生徒にぶつかってしまった。そして盛大に転ばせてしまった。
「いたた……」
「すみません!大丈夫ですか!?」
影山が先に駆け寄る。日向もすぐに走ってくる。
持っていた教科書が3年生の物だったので、先輩だとすぐにわかる。
「ごめんなさい!怪我とかしてませんか?あ、血!血出てる!どうしよう!」
転んだ彼女は地面にへたり込んだままだ。
腕を地面にこすったのか、少し擦りむいている。
「びっくりしたー……あ、血?ほんとだー。でも、これくらいはへーきへーき。」
ゆっくり立ち上がると、スカートに付いた砂を払いながら問いかけた。
「バレー部なの?」
「え、あ。はい!1年の日向っていいます!」
「1年の影山っす。」
「あ……。」
彼女は何か気づいたように二人を交互に見た。
「?」
「?」
「あ、ごめんね。なんでもないの。今年のバレー部一年がいろいろすごいって聞いてたから。あなたたちのことかなって。
はい、これボール。気を付けてね。もう教頭にはぶつけないように」
「な!!!?」
「なんでそれを!?」
しかし彼女は答えず、ふふっと笑って歩いて行ってしまった。