【ハイキュー】 poco a poco (ポコ ア ポコ)
第2章 はじまりはいつも問題児から
5月。
インターハイ予選を翌月に控え、毎日、練習練習の日々。のはずだったのだが、どうやらそれだけでは済まなくなってきた。
「追試?」
突然の告白に、澤村は目を見開いた。部活終了後の、部室でのこと。
「中間試験が返ってきたんすけど、その、二科目ほど……」
「影山だっせー。俺は一科目だけだぜ!」
「そこ威張るとこじゃないから」
月島の憐れむような視線を受けて日向は言葉に詰まる。
「まずいなー。追試通らないと補修だべ?そしたらインターハイ予選にかかってくるかもだな。」
菅原のその言葉に日向と影山はうろたえる。
「どどどどうなっちゃうんですか俺たち」
「こいつはまだしも、俺がいなかったらチームにとんでもない迷惑をかけてしまいますよね!」
「なんだと影山コラァ!」
「ああ?やんのかコラ!」
「やめなよ王様、今の状況日向と同レベルなんだから仲間割れしないで」
「とにかく!!」
澤村の声に一同黙り込む。
「影山と日向はこれから追試までの一週間、朝練30分早く上がって勉強しろ。放課後も30分勉強してから来い。追試落ちたらシャレにならないからな。しっかりやれよ。
分からないところは俺、菅原、月島にでも聞け。あと山口も進学クラスだったな。2年なら縁下でもいいぞ。
間違っても西谷と田中には聞くな、いいな。」
そこへ、ドアを開いて田中が入ってきた。
「お疲れっす。なになに?何の話っすか?俺の名前聞こえた気がするんすけど」
「スパイク最近レベルあがってきましたよね田中さんって話してたんですよ」
「おーマジか!?自分でもそう思うんだわ。やっぱみんなも気づいてたかー」
月島の機転によって田中は上機嫌のまま着替え始める。
そんな様子を横目に、こそっと日向と影山の後ろから菅原が声をかける。
「二人とも、勉強は図書室でやんな。俺時間あるとき見に行ってやるからさ。」
「菅原さん!あざっす!」
「っす」
「じゃ、俺今日ちょっと寄るとこあるから。また明日なー。おつかれ!」
菅原は手早く荷物をまとめると、帰ってしまった。
「珍しいっすね、菅原さん。いつも最後まで戸締りとかしてくれるのに」
「あー、時々あるんだよ。まあ、気にすんな。」
「そう……なんですか」