【ハイキュー】 poco a poco (ポコ ア ポコ)
第11章 そんな君を
「ん……。寝てた…。」
くっついたまま寝てしまったので汗びっしょりだ。
おまけに立花は体をひねったままだったのであちこち痛い。
「いたたた……。」
ゆっくり起き上がって時計を見る。そんなに時間はたっていなかった。
「ん~~やっべ寝てた……。」
菅原も目を覚ます。伸びをしてから起き上がる。
「あっつー!汗べったべた。ちょっとシャワー浴びてくる。」
そう言ってその場で脱ぎはじめる。
「ちょっと、ここで脱ぐの?」
「ん?だってベタベタで気持ち悪いし。一秒でも早く脱ぎたい。大丈夫、パンツは脱衣所まで我慢するから。」
「そういう問題?」
「そ。おりゃー!汗臭いシャツくらえ!!」
そう言って脱いだばっかりのシャツを立花の顔に押し付ける。
「ぐ!ちょっと、なにすんのー。苦しい!…し、くっさい!」
逃げる立花を笑いながら追いかける菅原。
「逃げんな!」
「ちょ!やめって……もうっやめろー!。」
立花が必死に抵抗して菅原の頭に手を伸ばし、髪をぐしゃぐしゃにする。
「うわ、やめろよー。」
「はやくシャワー浴びてきなさい!」
菅原は笑いながら逃げていった。
と、思ったのもつかの間、パンツ一丁で戻ってきてこう言った。
「みー、俺さ、春高までバレー部続けることにしたから!」
「……それ、なんでパンツ一丁の時に言うかなぁ。」
「一番にみーに言わなきゃって思ったから!」
菅原は満面の笑顔でそう言って脱衣所に走って行った。
立花は目の奥が熱くなるのを感じた。
「もう、不意打ちは反則!」
立花は嬉しくてにやにやするのを抑えながら脱衣所に向かって叫んだ。
インターハイ予選終了。
結果は少し残念だったけど、もうすぐ夏がやってきて、新しい目標も近づいてくる。
その時も立花は、菅原にこう言うつもりだ。
「こうちゃんなら、大丈夫。」