【ハイキュー】 poco a poco (ポコ ア ポコ)
第7章 傷は、少しずつ深く
それから何日か、菅原が迎えに行けば立花は最初は嫌がっていても渋々と準備して登校するようになっていった。
このまま全てうまくいく。二人ともそう思っていた。
「みー、ちょっと遅れ気味。急げるか?」
玄関で靴を履きながら、背後の立花に声をかける。
返事がない。
「うぅ……」
廊下で、立花がうずくまって吐いていた。
慌てて駆け寄る。
「みー、大丈夫か!ちょっと待ってろ。水か?いや、いい、いい、全部吐いちゃいな。」
そう言って優しく背中をさする。
「こうちゃ……ごめ……」
「いいから。じゃべんな。」
「ぶかつ、遅れちゃうよ……」
その言葉に、菅原は気づいた。
立花に無理をさせていたことに。
立花は、自分が迎えに来ることで、行かないわけにはいかないというプレッシャーを受けていたのだ。
「いいよ。大地が全部知ってるから。先輩にもうまく言っておいてくれるはずだ。だから何も気にすんな。」
その日、立花は学校を休んだ。菅原は朝練を30分遅刻したが、誰にも怒られなかったし理由も聞かれなかった。