【ハイキュー】 poco a poco (ポコ ア ポコ)
第7章 傷は、少しずつ深く
翌日、菅原は宣言通り立花の家にやってきた。
「おはようございまーす」
「こうちゃん、おはよう!美和まだ寝てるのよー。
いや、起きてるんだけど部屋から出てこなくて。
引きずり出して良いわよ。元気なのはわかってるから。
私もう仕事行くから、ごはんは作ってあるから食べて行ってね。」
「はーい。いってらっしゃい。」
立花の母はばたばたと出かけて行った。
それを見送ってから、菅原は立花の部屋まで歩いて行く。
「みー?起きてるか?開けるぞ」
ドアを開けてみると。意外にもしっかり起きていた。ただし、部屋着だ。
「お、おきてんじゃん。おはよ。」
「だって、ノートは返さなきゃいけないし。ありがとうございました。」
「どういたしまして。よし、制服来て、飯食って、行くべ。」
ノートを受け取って、菅原は元気よく言う。
「う~……嫌だ行きたくない」
「どこか痛いのか?具合悪いのか?」
首を横に振る。
「じゃあ、とりあえず。ごはんたべよう。
俺腹ペコ。それから行くか行かないかは考える。」
立花の背中を押して部屋から出て、リビングへ向かう。
「こうちゃん、何飲む?コーヒーでいい?牛乳とかジュースもあるけど。」
「みーと一緒でいいよ。ジュース?」
「……うん。」
オレンジジュースを二人分持って、席につく。
「いただきます。」
「……いただきます」
食べながら、ぽつぽつと会話をする。
「朝練、何時から?」
「7時。あと30分は大丈夫。」
「そっか。」
「とりあえずさ、行ってみよう?みーは勉強嫌いじゃないだろ?授業受けて、昼飯食って、また授業受けて、帰ってくるだけって考えればいいんだよ。」
菅原が自分のために早起きしているのだろうなと思うと、
申し訳なくもありがたくもあった。
「うん。今日は行く。準備するから、待ってて。」
そう言って立花のは大急ぎでジュースを飲みほし、
ヨーグルトと小さなパンを一つ食べて立ち上がった。
「もう食べないのか?」
「朝からそんなに食べられないよ。こうちゃん食べていいよ。」
「じゃあついでにコーヒーも飲んでいい?自分でやるからさ。」
「もちろん。」
少し表情が明るくなった立花に、菅原はほっとした。