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【ハイキュー】 poco a poco (ポコ ア ポコ)

第6章 思い出したくないあれこれ


休み時間をその子達と笑顔で過ごすことに集中して、席に戻って溜息をつく。

机の中から次の授業の教科書を探す。
すぐに違和感を覚える。

(あれ?これって・・・)

見覚えのないノートが入っていた。
現代文のノートだった。
表紙の下の方に、1年4組 菅原孝支と書かれていた。

(こうちゃん?)

さっきのやりとりを聞かれていたのだろうか。
立花はノートを見つめたまま顔を上げられない。

涙があふれた。

その時、ポケットに入っていた携帯が震えた。
菅原からメールだった。

「返すのは、今夜ごはんの時でいいから。ちなみに、今晩の立花家のメニューはなんですか?」

「麻婆茄子と、ポテトサラダと、卵とトマトのスープです。ノートありがとう。」

送信。すぐに返事がきた。

「いやいや、そこは麻婆豆腐でしょ!まあ、いいけど。めっちゃ辛くしてな。
俺のノート、字が汚くて美和ちゃんに見せるの恥ずかしいけど、大丈夫かな?」

(やっぱり聞いてたんだ。)

しかし不思議と、菅原とのやりとりを通すとさっきの出来事も笑えてきた。

「美和ちゃんってなに。きもーい!どうせ激辛にしたら茄子でも豆腐でも味わかんないじゃん。」

「美和ちゃん手厳しい!」

立花はあたりを見回した。

菅原の姿は出入り口のところにあった。

男子数人で固まって廊下を覗き見ている。
何か楽しいことでもあったのか、大声でわらっているのが分かる。

立花の視線には気づかない。


菅原がいてよかった。本当によかった。

今夜は絶対激辛麻婆豆腐大盛りで作ってやろうと心に決めた。

もう一度、菅原の背中に向かってありがとうと心の中で言った。
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