第2章 貴女に愛が届くまで
背後から無数の気配を感じる。後ろは数十体のレベル1のAKUMAがものすごい勢いでこちらに突進してきている。
そして無数の銃口がアリシアたちに向けられる。
二人はイノセンスを発動させた。神田のイノセンス六幻は宵闇に鈍く刃を輝かせた。アリシアは腰の両端に吊るされている拳銃を手に取りAKUMAに向ける。
そして、無数の血の弾丸が銃口から吐き出された。
神田は大きく刀を振り叫ぶ。
「災厄招来!」
刀から界蟲一幻が飛びだしてきて弾丸とAKUMA数体を破壊した。だが、弾丸は全て撃ち落とせていない。
アリシアは正確な射撃で残りを撃ち落としていく。だが、希少銀の弾丸ではAKUMAの血の弾丸の軌道をそらして安全に撃ち落としているだけで壊せてはいない。
それを見て神田はあざ笑う。
「なるほどな、豆鉄砲かよ。……つかえねぇ」
表情を険しくしたアリシアに神田は刀を肩に当ててにやりと笑う。
「お前はイノセンスを追え、ここは俺が後始末してやるよ」
「なっ!」
言い返そうと口を開いたところで、またAKUMAからの攻撃が発射される。神田はAKUMAに向かいっていく。そして真正面からやってきていたAKUMAを一振りで真っ二つにした。
「いけぇ! 豆チビ!」
震えるほど怒りがやってきたが、アリシアは冷静になろうと息を吸った。そして吐く。言動はともかく神田の腕は信用してもいい。彼が一人でこなせる数なのだろう。
歯がみしてアリシアは走り出した。
「任せましたよバカンダー!!」
「テメェ!!」
戦いの最中で神田の言葉はかき消されたがどうせ罵倒だろう。アリシアは気にせずその場から離れてオルゴールの音色を追いかける。