第2章 貴女に愛が届くまで
まずは、これからの相方との関係の修復からだ。深く息を吸い込み、吐く。
そしてアリシアは意を決して話しかけた。
「神田」
神田は聞こえなかったのか、資料のページをめくっている。
「神田」
なぜか全く反応がない。
「カ・ン・ダ聞こえてますかー?」
すると神田のみけんにしわが寄る。
「うるせぇ、黙って資料でも見てろ」
話しかけてもこの素っ気ない反応。完全に拒絶されている。アリシアはギリィと歯ぎしりする。
「じゃあ、資料の内容を見て話し合いましょう」
神田は資料に目を向けたまま鼻で笑ってくる。
「読めば全部わかんだろうが」
アリシアの怒りのボルテージが一気に上がる。だが、落ち着かなければ、相手の思うつぼだ。
「あの、今回は探索部隊が一緒に行動できないってわかってますよね?」
神田がようやく顔を上げてこちらを見た。
「だからなんだよ」
「私たち二人で調べて、探索して、もしかしたら戦闘をしないといけないんですよ?」
神田はじっと見つめて来るだけでなにも反応がない。
「パートナーになったからからには少しは協力してやっていきましょう」
そして、アリシアは神田に向けて手のひらを差し出した。
神田はアリシアをじっと見つめ、興味を失くしたかのように資料に目を通し始めた。要するに協力する気がまるでないのだ。
宙ぶらりんになった手を関節の音が鳴るほど握り締める。なんて奴だとも思うが、神田にとってそれが当たり前のことなのだろうとアリシアは思い込むことにした。そういう出方をするならばこっちにも考えがある。